活性化PI3Kδ症候群(Activated PI3Kδ syndrome , APDS; 老化T細胞、リンパ節症、免疫不全を引き起こすp110δ活性化突然変異 [PASLI])は、PIK3CDまたはPIK3R1遺伝子のヘテロ接合変異によるPI3Kδの過剰活性化を特徴とする先天性免疫異常症(IEI)の1つで、反復性気道感染症、非腫瘍性リンパ増殖症、ヘルペスウイルス感染症など様々な臨床症状を呈します1-3。免疫調整異常に関連するその他の重大な合併症としては、細胞減少、関節炎、炎症性腸疾患、リンパ腫などがあります2,3。APDS患者は診断がつかないまま長期間が経過したり、誤ってPID、CVID、CIDなどと診断されることがしばしばあり、これによって罹患率および死亡率が有意に上昇する可能性が指摘されているほか、 患者のQOLの低下につながったり、ときには生命が脅かされることもあります2-4。
APDSの確定診断を行う唯一の方法が遺伝子検査であり、早期に正確な診断を行い適切な治療を開始するため、家族で検査を受けることが推奨されます。
※本ウェブサイトに記載されている統計データは、特記されている場合を除いて海外のデータです。
APDSとは
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼは様々な細胞表面レセプターによって活性化される脂質キナーゼ群に属し、細胞の代謝、成長、生存、分化、接着、移動に影響を及ぼす様々な下流標的分子を制御します。…
APDSの症状
APDSの症状は、PIK3CDまたはPIK3R1遺伝子の特定の変異によるPI3Kδシグナルの亢進によって引き起こされます。…
APDSの診断
遺伝子検査はAPDSの診断を確定する唯一の方法です。APDSが親から子へ遺伝する確率は50%であるため、APDS患者の家族も遺伝子検査を受けることが推奨されます。…
APDSの管理
APDSの管理は現在、表出した症状の治療に重点がおかれています。…
APDSに関する追加情報とリンク